山歩きでは、先人たちが培ってきた「守るべきルール」があり、「守ることで気持ちよく過ごすことのできるマナー」や「コツ」があります。
“O-DOG”では、多くの犬連れ、犬抜き山歩き愛好家のご意見をベースに、トラブルなく、ストレスもなく楽しむための「犬連れアウトドアのルール」や「マナー」のガイドラインを作成することを試みています。
ここでは、これまでにお寄せいただいた主なご意見をまとめてみました。
アウトドアのフィールドであっても、最低限、「家庭犬としての躾け」と「飼い主によるコントロール」は必要。
中でも、以下の2点はトラブルの報告が多い要注意事項だ。
「ムダ吠えをさせない」→ハードな山歩きの休憩中。だれもがリラックスしたいのに、えんえんと止まない、ヒステリックな犬の声!聞かされる方はたまらない!
「安易にリードをはなさない」→楽しいランチタイムに犬が乱入!突き飛ばされた子供が泣き出した!なんてことになったら、今後そのフィールドが犬禁止になることも。
また、すべてのフィールドで、糞は持ち帰りが原則。「犬禁止」を招く一番大きな原因は「糞の放置」だ。
また、犬の毛は他人には不快そのもの! 野外でブラッシングをしてはいけない。
犬嫌いの人は、「犬は、吠える、噛む、飛びかかる生き物である」と感じている。フィールドで共存するためには、飼い主の側に、その恐怖心をやわらげるための努力が欠かせない。
犬の吠え声は他人には迷惑であり、恐怖心を与える場合があることを忘れない。
犬が走り寄る、時にはほんの数歩近寄ることでさえ、他人には恐怖心を与える場合があることを忘れない。
犬がオフリード状態にあるとき、たとえどんなに言うことをきく犬であっても、他人には恐怖心を与える場合があることを忘れない。
それには、大型犬、小型犬といった犬のサイズによる違いはない。
山歩きでは、特にダニの被害が多い。かゆいだけでなく、犬の皮膚アレルギーなどを引き起こすことのあるノミ類、人畜共通感染症を媒介することもあるダニ類は、人間にとっても注意が必要。
フィールドに出る前に、あらかじめフロントラインなどの駆虫剤を滴下しておいたり、忌避剤をスプレーしておくとよい。
下山後、ノミブラシをかけたり、忌避効果のあるシャンプー剤を使ってシャンプーをするのも有効。3日〜1週間くらいは、ダニがついていないかのチェックが必要だ。
岩場でパッドを切った。転んだ時に歯を折っていたなど、人間ばかりでなく、犬も思わぬケガをすることが多いのが、アウトドアのフィールドだ。
犬は痛みに我慢強く、それほど痛がっている様子がなくても、ケガをしている場合がある。
帰宅後、パッドや身体を拭いてやりながら、なるべく全身をよくさわって、痛がる箇所がないかをチェックする習慣をつけたほうがよい。
また、疲れ方などから、犬にとって「とっても大変だった」のか、それとも「このくらいは楽勝」だったのかなどを観察しておくと、次回からの遊び方を考える参考になる。
所要時間や高低差、難易度など、人間の体力や技術よりも、1〜2ランク低いコースを選んだほうがよい。なぜなら、犬を連れて歩くということは、人間の注意力の何割かが、犬に向けられるということだから。
子供を連れて山を歩く場合と同じだと思えばよい。
また愛犬の日頃の様子から、犬の体力や実力を把握しておき、どのくらいのコースなら同伴しても大丈夫か判断することが大切だ。
鎖場や梯子が連続している岩場など、犬が独力で通過できない「難所」のあるコースは、犬連れには不向き。犬の大きさによっては、飼い主が抱き上げたり、リードをひっぱりあげたりすることで通過できる場合もあるが、それが可能かどうかの判断には慎重さが必要。実際に、飼い主の判断ミスによる、梯子場での滑落事故がおこっている。
原則として、犬が自力で通過できない場所は、ルートとして選択すべきではない。
犬を連れて入山する前に、下見ができるとなおよい。
山歩き中、予想外の岩場などに遭遇した場合、ムリはしないこと。ムリだと判断したら引き返す勇気を持つ。
人の多いコース、時期を避けることで、人も犬も、のびのびと山歩きを楽しむことができる。
「できるだけ有名な山は避けて、無名の平易な山を選ぶ」→「○○百名山」などの有名な山には、山岳同好会などの団体が来ていたり、とにかく人が多く、犬連れにとっては気疲れすることの多い山行になりがち。トラブルが発生する可能性もその分高くなる。犬も行動に制約をうけることが多くなり、楽しめない。
「できれば平日等、人の少ない日時を選ぶ」→平日の山歩きは「全山貸し切り」になることもあり、とても気持よく楽しめる。
「季節を考える」→ツツジで有名な山にツツジの季節に行かない、紅葉が有名な山に紅葉の季節に行かない、など、人出の多いことが予想できる時期は避ける。登山時期をほんの1週間ずらしただけで、貸し切り状態で歩けることもある。
犬の同伴が自然環境の保護保全に悪影響を与えていると主張する自然保護論者もいるが、現在のところ科学的に実証されておらず、森林生態学者の中には「原則として人が入れる場所には、犬を同伴してさしつかえない」という考えを持つ研究者もいる。
しかし、犬連れでもそうでなくても、山歩きのさいにはできるかぎり「ローインパクト」であるべき。
「糞は持ち帰る」→「取るのは写真だけ、残していくのは足跡だけ」というのが、山歩きの基本。土に埋めるのもいけない。
「野生動物を追わせない」→「犬連れだと小動物に出会わない」とも言われるが、実際には、鹿、オコジョ、リスなどに遭遇した例がある。また、残念ながらライチョウに被害があったケースが、わずかながら報告されている。くれぐれも注意したい。
「予防接種していない犬、病気の犬は入山させない」→ワクチネーションが発達した現在、ワクチンさえ接種していれば、野生動物に伝染する重篤な疾患の危険性は限りなくゼロに近い。しかし、たとえ命に関わらないものであっても、病気の兆候のある犬を入山させないのが、山と山の生き物たちに対するマナー。そのためにも、日常の健康管理はしっかりと行う必要がある。
「野生動植物の特別保護地区等での犬の入山規制には従う」→過去、実際に犬による被害のあったことから、ライチョウの営巣地などで犬連れの入山を自粛するよう求めているエリアがある。今後の、犬禁止エリアの拡大を招かないためにも、こういった地元管理者による指導には従う。
「“トマレ”“マテ”“ツケ”等の指示によって犬を確実にコントロールできるようにしておく」
→これができないと、ほかの登山者の迷惑になり、犬自身にとっても危険。思わぬ事故を招かないためにも、できないうちは、犬を連れての山歩きは控える。とくに、引っ張り癖がある犬の入山は危険。
「万が一を考え、オフリードでもコントロールできるようにしておく」
→山といえど、歩くときの基本はオンリードだ。しかし山道の状況によって、あるいは思わぬ事故などにより、リードを放さざるをえない場面があることも想定しておいたほうがよい。最低限「コイ」の指示に応じて飼い主のもとに来ることができれば、安心だ。
「犬の飲み水」
→ルート上に水場があるかどうかを確認し、水場がない場合は犬の飲み水を持ってゆく。中型犬で、小学生1人分くらいの水を用意する。冬場よりも夏場のほうが、人も犬もたくさん水を飲む。
「駐車場所付近で排泄を済ませてから入山する」→回収した糞は車に。山行中に排泄する糞の量が少ない方が、持ち帰る飼い主も楽。犬も身体が軽くなる。
「長めのリード」
→岩場など、犬が飼い主のすぐ近くを歩けない場所もある。ロングリードか、できれば犬の動きにあわせて長さが自動調節されるタイプのフレキシリードなどを準備しておくとよい。
「犬用リュックなど」
→大型犬の場合、犬自身の飲み水や排泄物などを自分で運ばせるという飼い主も多い。また、野犬などと間違われる可能性がなくなり、相手に与える恐怖心が少なくなるという意味で、リュックやベストを着用させることはおすすめ。
見通しの悪い登山道で、角を曲がったとたん犬に出会う・・・犬好きでも、少しドキッとするシュチュエーションだろう。
まして相手が、犬嫌いだったら・・・?
いきなり現れた犬に驚いて、足を踏み外し、滑落・・なんていう事故につながらないとも限らない。そこでそういったルートでは、犬を先頭にさせず、かならず人間のあとを歩かせる心配りが必要。
見通しのよい場所では、普段のお散歩と同じに考えてよい。
「大きな声で“こんにちわ”と挨拶」
→山の基本。犬連れハイカーのイメージアップのためにも、他のハイカーに出会った時は、笑顔であいさつをしたい。
「登りも下りも、犬を連れていない登山者を優先する」
→山の通常のルールは「登り優先」。しかし、場所によっては、通過のさいに犬がもたつくことがある。犬のために他の登山者を待たせることは、あまりよい印象を与えない。そこで、できるだけ前後の様子に目を配り、自分たちが登り下りのどちらの場合でも、早め早めの待避をこころがけ、他の登山者を優先して通過してもらう。
「狭い登山道では犬を手元に座らせる」
→他のハイカーとのすれ違いや、後ろから来た登山者に追い越される場合は、できるだけ犬を止まらせたほうが、お互いに安心。
相手と反対の側の“ヒール”のポジションに座らせる。大型の犬の場合はできれば“フセ”をさせ、リードを短く握り、かつ、犬の首に手を置けば、さらに、相手に対して安心感を与えることができる。
人間1人の場合は、犬をオフリードにするか、もしくはロングリードやフレキシリードを長く出し、ルート選択は犬に任せたほうが安全。
同行が2人以上なら、1人が先行してリードを持ち、犬を待ち構える。残りの1人はOKの合図とともに犬をリードなしで送り出す、といったピストン方式がよい。
岩場は、滑落事故などの危険が大きい場所なので、犬を通過させる際は、他のハイカーへ迷惑をかけたり、怖がらせることのないよう、充分に配慮する必要がある。
登山道でも、犬は放さずオンリードで歩くのが基本だ。
しかし、まわりに全く人がおらず、なおかつ耳を済ませても他の登山者の声や気配がない場合に限り、リードなしで歩くほうが、人、犬双方にとって安全な場合もある。
犬をリードなしで歩かせるには、オフリード状態での確実なコントロールが可能で、“コイ"や“トマレ”などの指示にも従うことができなくてはならない。
同時に、不必要なトラブルや危険な事故を招かないよう、以下の点に留意する必要がある。
「登山道からはずれない」→自然環境の保護保全と、犬自身の安全のために、犬も、登山道から外れないで歩くことが必要。
「人間でサンドイッチする」→同行が2人以上の場合は、必ず先頭と最後尾の人間の間を歩かせる。先頭の人間より前に出たら呼び戻す。これは不意に誰かに会ったとき、相手に恐怖心を与えないためであり、また未知の危険防止のためでもある。リードは先頭の人間が持ち、状況判断して適宜リードをつける。
単独で犬を同伴する場合は確実に“ツケ”をさせること。
「絶対にリードをつけなくてはいけない場所をおぼえておく」→野生動物保護エリアや植物保護エリアでは、万が一のそそうも許されない。動植物の保護を理由にした犬禁止エリアをこれ以上増やさないためには、上記の条件を満たす場合も、必ずリードをつけ、できるだけすみやかに通過する。
また、車の通る林道などを通過する場合は、犬の安全のためにも必ずリードをつける。
そして当然のことながら、どのような場合でも、人の気配がしたら、リードをつけること。